【城平京】名探偵に薔薇を レビュー/感想


名探偵に薔薇を (創元推理文庫)


■あらすじ・内容
怪文書『メルヘン小人地獄』がマスコミ各社に届いた。
その創作童話ではハンナ、ニコラス、フローラが順々に殺される。
やがて、メルヘンをなぞったように血祭りにあげられた死体が発見され、
現場には「ハンナはつるそう」の文字が……。
不敵な犯人に立ち向かう、名探偵の推理は如何に? 
第八回鮎川哲也賞最終候補作、文庫オリジナル刊行。

■レビュー(ネタバレなし)
城平京による推理小説『名探偵に薔薇を』
1998年発行
作者の長編ミステリデビュー作
第八回鮎川哲也賞最終候補作

城平京は小説化というよりは、漫画原作者として有名なようだ。
代表作に「スパイラル ~推理の絆~」「絶園のテンペスト」などがある。

「第一部 メルヘン小人地獄」
「第二部 毒杯パズル」の二部構成となっている。
当初は第二部の毒杯パズルのみであったが、
後に名探偵や毒薬のエピソードを盛り込む目的で、
第一部のメルヘン小人地獄が書かれた。つまり、メインは第二部である。

尚、評価だが純粋に謎解きをしたいという人には合わないだろう。
エラリークイーンなら、国名シリーズというよりは中期及び後期の作品のような感じを受けた。
個人的にはかなり微妙な作品。ただ、レビューを見てみると結構評価は高い。
第二部がメインとのことだが、第一部のほうが面白く感じた。


========下記ネタバレ注意================


■レビュー(ネタバレあり)
「第一部 メルヘン小人地獄」
メルヘン小人地獄という童話に沿って殺人が起きる。つまりは見立て殺人である。
殺人では、小人地獄という非常に少量で死に至る架空の毒薬が登場する。
ただこの小人地獄。架空のもの故か設定に違和感がある。
それは、致死量の二十倍なら非常に強い苦味があり嚥下不可なため、死ぬことはないという点だ。
それだけの高濃度ならすぐに吐き出しても少しは口に残ってしまうはずなので、
死なないのはおかしいと思うのだが。。。
これについては深く考えず、そういうものだと理解するしかないようだ。

設定は違和感があったが、瀬川の推理は素晴らしかった。
鶴見が国見の計画を乗っとたためアリバイがあったこと
実行はされなかったものの、国見が童話通りの順番で殺害が発生していると世間に思い込ませ、
死亡推定時刻を誤認させようとしていたことは驚かされた。
また、名探偵登場から事件解決までがかなり早く、瀬川の有能さが際立っていると感じた。

「第二部 毒杯パズル」
誰が犯人か?というのはあまり重要ではない。
誰が毒を入れたのかはミステリ好きならすぐにわかるのではないか。
しかし、何故毒薬を入れたのか?を推理するのは難しい。
真相は、瀬川に会いたかったため、鈴花が事件を起こしたというものだった。
言われてみれば確かに瀬川に対する反応はそう思えなくもない。

この話では誰も彼もが瀬川に嘘をついているので、結局なにが嘘で本当だったのがわかりにくい。
そのためか第一部で見せた瀬川の有能さがあまり見られない。
結局、カップに毒を塗ったというのも嘘だったし、三橋が鈴花を好きだったというのも嘘だった。
名探偵は苦悩し、最後もスッキリと終わらない。
名探偵の心情を描いているのは素晴らしいが、
魅力的な内容だったかと言われるとそうではなかった。



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